時を超えて。

輪島塗りの起源にはさまざまな説がありますが、現存する最古の輪島塗りは河井町にある「重蔵権現本殿の朱塗扉」で、室町時代の大永4(1524)年の作といわれています。漆器の技法そのものは縄文時代にまでさかのぼることができます。長い時間をかけ、幾世代にもわたって受け継がれてきた技。しかし、それはたんに伝統を守ることだけにとどまりません。創意を重ね、技を磨き、つねに進化と深化を続けてきたのです。たとえば、「輪島地の粉」の発見。これは珪藻土の一種を焼いて粉末にしたもので、漆に混ぜることで頑丈な下地がつくれるようになりました。弱くなりがちな所に布をかぶせる「布着せ」という手法も生みだされました。こうして、輪島塗りならではの「優美さと堅牢さ」を支える、本堅地法とよばれる工法が完成したのです。江戸時代に入り、享保年間には沈金の技術が確立。さらに文化文政の頃には蒔絵の技術が伝わり、「暮らしの中で使う道具であると同時に、ひとつの芸術でもある」という輪島塗りならではの価値が確立していきます。つねに、より美しいもの、よりよいもの、より優れたものを求める。その強い意志を持つ人々が価値を高め、磨きあげてきた輪島塗りの歴史。時を超える価値は、時を超えて磨かれてきた技から生まれます。
 
 
 
 

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