工房としての街。
輪島の街を歩くと出会うことのできる、さまざまな輪島塗。でも、輪島塗はどこでつくられているのでしょう。輪島塗は完全な分業制によってつくられます。木地づくり、塗り、研ぎ、沈金や蒔絵。それぞれの職人の家に工房が設えられているのです。暮らしのなかに、漆器づくりが溶け込んでいる。いわば、輪島の街全体が工房といえます。では、なぜ輪島塗がこの地で生まれ育つことになったのでしょうか。輪島は古くから「親の湊」と呼ばれ、海上交通の拠点として栄えてきました。はるか古代にも、中国や朝鮮半島との交流が行われてきたといわれます。中国が発祥といわれる漆芸の技術。それが日本に初めて伝えられた地は、輪島だったのかも知れません。また輪島には、ウルシをはじめ、ヒノキ、アテ(あすなろ)など、漆器づくりに欠かせない木々を育てる豊かな森があり、「輪島地の粉」を産出する大地があり、さらに漆の乾燥に適した気候も備えていました。しかし、もっとも大きな理由は、独自の生産システムや販売網、品質管理基準までもつくりあげてきた「優れたものをつくる」ことへのこだわり、先達の努力と情熱といえるでしょう。輪島塗りに触れてみたいと感じたら、ぜひ輪島の街にお越しください。日本海の海の幸をはじめ、四季折々の豊かな味わい、風情豊かな街並みや朝市のにぎわい、そしてたくさんの輪島塗とその工房がお待ちしています。
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