輪島中津家
南風吹いて
壁紅殻の
塗師の家
輪島で「銀の漆器」を手掛ける中津漆器店。中津正克さんのつくる漆器には一面に粗い銀粒が蒔かれ、それは金色に近い独特の風合いを醸し出しています。「銀がなんでこんな色になるのか不思議やろ?」と話す正克さん。「うちは"粗い粒"を相手にしとる。それが年月をかけてゆっくりと酸化するから、こんな色になるんや。」と言います。
粗い銀を研ぎ磨く作業は、銀より硬い"青砥石"を片手に行う真剣勝負。一カ所でも失敗すれば、中塗りからすべてやり直し。習得するまで30年はかかったという熟練した技と勘で、光の光沢を見極めながらじっくりと銀を磨きあげます。
「風流な色やろ。」と満足げに紹介してくれるお椀、水差し、硯箱。それらの作品からは、正克さんが日頃から嗜む俳句の心が感じられます。
中津漆器店
http://www.nakatsu-sikkiten.com/
石川県輪島市山岸町22-17
TEL: 0768-23-1169
定休日: 不定休