設備と道具
1.木地(きじ)

原木をまず適当な大きさに切って椀の形を大まかに作る。その後荒削りをした木地をおがくずで燃やす。薫煙乾燥室で乾燥しさらに1年ほど自然乾燥させて狂いがこないようにする。そして椀木地師がろくろを廻しながらかんなで椀の形に削ります。

2.切彫(きりぼり)

木地の継ぎ目、小節や割れなど木地の悪いところを小刀で削る。

3.刻苧(こくそ)

切り彫りしたところへ生漆とケヤキの粉を混ぜ合わせたこくそを詰めて平らにして傷を補修する。

4.木地固め

全体に生漆をしみ込ませ木地を固める。

5.木地磨き

さめ皮をはった板や砥石で木地を磨き、次に塗る漆の接着を良くする。

6.布着せ

椀の縁や高台など薄くこわれやすい所に糊漆で布をはり補強する。麻布や寒冷紗を使います。

7.着せ物削り

布着せした布の縁や重なった所を削り滑らかにする。

8.惣身付(そうみつけ)

布着せと木地との境に惣身漆をへらを使って塗り、平らにする。

9.惣身磨き(そうみみがき)

サンドペーパーで全体を磨く。


下地


地研ぎ
10.一辺地付(いっぺんじづけ)

一辺地漆を面ごと何回かに分けてへらを使って全体に塗ります。お椀の縁など特に丈夫にしたい所はひ皮へらをつかって地縁引きをします。 一辺地漆は珪藻土を蒸し焼きにし砕いてふるい分けた地の粉(一辺地粉)と生漆と米のりを混ぜたものです。二辺地、三辺地と進むごとに米のりの割合を少なくし地の粉の粒子も細かくなっていきます。

11.一辺地研ぎ

かたい砥石を使い全体を空研ぎする。

12.二辺地付(にひんじづけ)

二辺地漆を一辺地同様に全体に塗る。
二辺地粉+生漆+米のり+砥の粉

13.二辺地研ぎ

かたい砥石を使い全体を空研ぎする。

14.三辺地付(さんぺんじづけ)

三辺地漆を二辺地同様に全体に塗る。
三辺地粉+生漆+米のり+砥の粉

15.三辺地研ぎ

かたい砥石を使い全体を空研ぎする。

16.めすり

砥の粉と生漆を混ぜたさび漆を薄く塗り肌を細かくする。

17.地研ぎ

下地が仕上がってから全体を砥石でていねいに水研ぎする。

18.中塗(なかぬり)

全体に中塗漆を刷毛で塗る。中塗はしめらせた塗師風呂に入れて乾かす。品物により二度中塗(小中塗)することもある。

19.中塗研ぎ

中塗後砥石または木炭で水研ぎする。砥石は地研ぎより粒子が細かい。

20.小中塗(こなかぬり)

全体に中塗漆を刷毛で塗る。中塗はしめらせた塗師風呂に入れて乾かす。

21-1.小中塗研ぎ

中塗後砥石または木炭で水研ぎする。

21-2.拭き上げ

油分や汚れも拭き取りきれいにしてでこぼこを修理する。拭き上げ後は、上塗作業に入るため、油分(素手)をさける。

22.上塗(うわぬり)

上塗はゴミやほこりをきらい適温、適湿(一定の温度や湿度を保つ)の塗部屋で行われる。最上質の上塗漆を内側と外側と二回に分けて色々な刷毛で塗りむらのないように程よい厚さに塗る。漆が垂れないように回転風呂に入れてまわしながら24〜48時間乾かします。

23.呂色(ろいろ)

上塗を終えた後、艶を出すために木炭で研ぎコンパウンド(砥の粉+椿油)でこすり、漆で数回すりをし、漆を浸ませ空いた後、チタン粉(白い粉をかためたもの)で磨いて艶を上げる。呂色は最後、人の手や指先で傷をいれないように磨く。乾漆や石目、梨子地など変わり塗もある。

24.加飾

蒔絵(まきえ)
筆に漆をつけて絵を描き、金粉、銀粉などを上からまき固まった後、漆をかけ乾かし、乾いたら磨き仕上げる。蒔絵には平蒔絵、高蒔絵、研出蒔絵などの種類があります。

沈金(ちんきん)
絵を線や点のみで彫ることによって描く。彫った後、漆を塗りそれを拭き取りその上に金箔、金粉、銀粉を彫り跡に入れます。まわりを拭き取り彫った所に金や銀が線や点として模様をつくり出します。

木地